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天気現象

天気略語表 航空気象通報式


METARの「現在天気」は、
目標を使って観測員が目視で観測する「有人観測」か、
または観測装置による「自動観測」によって示されます。

「有人観測」では上の天気略語表の全てを使用し、
「自動観測」では上の天気略語表の網掛け部分のみを使用して、
重要な順に最大3つまで示されます。


付帯条件-強度

天気現象の強度(intensity)は、
気象庁の「航空気象通報式」には具体的基準は載っていませんが、一般に空港では

・ RA(雨)
 「-(light:弱)」  0mm/h 以上 3.0mm/h 未満
 「 (moderate:並)」3.0 mm/h 以上 15.0mm/h 未満
 「+(heavy:強)」  15.0mm/h 以上

・ SN(雪)
 「-(light:弱)」  0mm/h 以上 1.0mm/h 未満
 「 (moderate:並)」1.0mm/h 以上 3.0mm/h 未満
 「+(heavy:強)」  3.0mm/h 以上

として運用されています


一方で、WMO(世界気象機関)による「Aerodrome Reports and Forecast」には、また別の具体的な基準が示されており、

・ DZ(霧雨)
 「-(light:弱)」  0.1mm/h 未満
 「 (moderate:並)」0.1mm/h 以上 0.5mm/h 未満
 「+(heavy:強)」  0.5mm/h 以上

・ RA(雨)
 「-(light:弱)」  2.5mm/h 未満
 「 (moderate:並)」2.5mm/h 以上 10.0mm/h 未満
 「+(heavy:強)」  10.0mm/h 以上

・ SN(雪)
 「-(light:弱)」  1.0mm/h 未満
 「 (moderate:並)」1.0mm/h 以上 5.0mm/h 未満
 「+(heavy:強)」  5.0mm/h 以上

となっており、米国などではこのような強度で運用されています。


特殊にな読み方の例外
「+TSRA」:「thunderstorm with heavy rain」
        「+」は「TS」ではなく、「RA」に係ります。
        雷が強いのではなく、雨が強いです。

「+FC」:「well developed funnel cloud」
      強度というより、「+FC」で天気現象を示します。
      「FC」が地表に到達してない「ろうと雲」、
      「+FC」地表に到達する程の「竜巻」です。

「RI++」:「remarkable rainfall intencity」
       30mm/h 以上の強度を観測した場合に、RMK欄に記載されます。


ちなみに、気象庁の言う「激しい雨」等にも具体的な定義があります。
「激しい雨」
  30~50mm/h、傘を差していても濡れる
「非常に激しい雨」
  50~80mm/h、マンホールから水が噴き出す
「猛烈な雨」
  80mm/h以上、大規模な災害の恐れがある。



付帯条件-周辺現象

天気現象の周辺現象(proximity)は、
通常、飛行場標点から8~16kmの現象であることを示します。
管制圏が通常5nm(9km)なので、管制圏の内から外側らへん(周辺)の現象です。

ただし、ろうと雲の「VCFC」だけは、飛行場標点から20kmまでで示されます。

また、飛行場周辺での降水は、しゅう雨性とか霧雨だとか関係なく、常に「VCSH」と示されます。



特性

天気現象の特性(characteristics)は、
1つの現象に1つだけ、付けられます。

「MI」「BC」「PR」は、
 「霧(FG)」とのみ組み合わせて使用されます。

「MIFG」は「shallow fog」と読みます。
 「地霧」の意味で、明け方の成田~百里など、放射冷却による霧や、北方の海霧などで稀に見ることがあります。
  目の高さでは霧(視程1km未満)があるものの、地上2mの高さでは視程が1km以上ある場合につけられます。

「PRFG」は「partial fog」といいます。
 「部分的な霧」の意味で、飛行場の一方を霧が覆っているが、反対側には霧が無い状態をいいます。
  観測所には霧がかかってないので、霧の境目がはっきりと見えます。

「BCFG」は「patches fog」といいます。
  パッチを当てたように、あっちこっちに小さな霧の塊が散在している状態です。
  これも観測所には霧がかかってないので、霧の境目がはっきりと見えます。

ちなみに、飛行場標点から8~16kmの周辺で「PRFG」や「BCFG」が観測されたときは、
「VCFG」と示されます。



「DR」「BR」は、
 「雪(SN)」「砂(SA)」「塵(DU)」に組み合わせて使われます。

「DRSN」は「low drifting snow」と読みます。
  この場合は「雪」が「2m未満の高さに吹き上げられていること」を示します。

「BRSA」は「blowing sand」と読みます。
  この場合は「砂」が「2m以上の高さに吹き上げられていること」を示します。



「SH」は、
 「雨(RA)」「雪(SN)」「あられ(GS)」「GR(ひょう)」に組み合わせて使われます。

「SHSN」は「shower snow」と読みます。
  この場合は「雪」が「しゅう雨性であること」を示します。

「しゅう雨」とは、「対流性の雲から降る雨」のことをいいます。
一般に、急に降り始め、降り方の強さも急激に変化し、すぐに降りやむような雨のことを言い、「にわか雨」ともいいます。
「しゅう雨性」とはそんな特性を示します。
ちなみに「層状性の雲から降る雨」のことは「地雨」と言い「RA」はこの地雨を示しています。



「TS」は、
降水現象を伴う際には「RA」「SN」「GS」「GR」に組み合わせて使われますが、
降水現象を伴わなければ「TS」だけでも使用されます。

「TS」は「thunderstorm」と読みます。
  雷電が目視できていなくても、聴音されていれば示されます。
  地表では、音の速さががざっくり340 m/s位であるため、雷が光ったあと20秒で音が聞こえると、そこから約6.8kmらへんのところで落雷が起きていると算出されます。



「FZ」は、
 「雨(RA)」「霧(FG)」「霧雨(DZ)」に組み合わせて使われます。

「FZRA」は「freezing rain」と読みます。
  この場合は「雨」が「着氷性であること」を示します。

「着氷」とは「水滴が地物に付いて凍結する現象」をいいます。
「着氷性の雨」とは、一般に「過冷却状態の雨」のことで、「0℃より低温の液体で、衝撃を与えると凍り付く雨」のことを言います。



降水現象

天気現象の降水現象(precipitation)は、現象の観測が行われた際に示されます。
同時に2種類以上の現象が見られた場合、3つまでは同一群にまとめられて通報されます。

「RA」は「雨(rain)」、
「DZ」は「霧雨(drizzle)」を示します。

「雨」と「霧雨」の違いは、水滴の大きさです。
 「DZ」は「雨滴が直径0.5mm未満」、
 「RA」は「雨滴が直径0.5mm以上」です。


「SN」「SG」も同様です。
「SN」は「雪(snow)」、
「SG」は「霧雪(snow grains)」を示し、その違いは雪の結晶の大きさです。
 「SG」は「結晶の直径が1.0mm未満」、
 「SN」は「結晶の直径が1.0mm以上」です。


「PL」は「凍雨(ice pwllets)」、
「GR」は「ひょう(hail)」、
「GS」は「あられ(Graupel)」を示します。

「ひょう」と「あられ」の違いは、これも粒の大きさです。
 「あられ」は「氷粒が直径5.0mm未満」、
 「ひょう」は「雨滴が直径5.0mm以上」です。

「あられ」はその中でも
 「雪あられ(snow pellets)」と
 「氷あられ(small hail)」にわけられます。
一般には
 「雪あられ」は「比重が0.8未満の比較的小さい白色不透明の氷の粒」で「雪」に含まれ、
 「氷あられ」は「比重が0.8~0.99の半透明の氷の粒」で「雨」に含まれます。
 氷あられは固いので、粒は簡単につぶれず固い地面に当たると音を立てて弾むのが特徴です。

「凍雨」と「あられ」の違いは、その発生原因の違いです。
 「あられ」は常に対流雲から降る「しゅう雨性」の降水現象で、
 「凍雨」は層雲から降る降水現象です。

ちなみに、「FZRA(着氷性の雨)」と「PL(凍雨)」もごっちゃに考えがちですが、
 「着氷性の雨」は過冷却状態の「雨」であって「液体」ですが、
 「凍雨」は「固体」で、全くの別物です。

また、一般予報の「みぞれ」とは「雨と雪が混在した降水」のことで、
METARでは通常「SNRA」とされます。


「UP」は自動METARでのみ用いられる記号です。  「不明な降水(Unidentified precipitation)」と読み、
1 感雨はあるが、温度計又は湿度計が障害中の場合
2「雪」または「みぞれ(SNRA)」と判定されたが、RVR(又は視程計)が障害中の場合
3「雨」または「みぞれ(RASN)」と判定されたが、雨量計が障害中の場合
の場合に使用されます。


視程障害現象

天気現象の視程障害現象(obscurations)は、視程が5000m以下となる程の視程悪化が発生した際に、その要因や程度が示されます。

「BR」「FG」は「水分」が要因となる視程障害現象です。

「BR」は「もや(mist)」、
「FG」は「霧(Fog)」を示し、

 「BR」は視程が「1km以上」、
 「FG」は視程が「1km未満」のときに通報されます。

また、霧やもやと雲の違いは、地表に接しているかどうかの違いです。
では、山にかかっているものは「雲」か「霧」かというと、
山腹などその現象の中にいる者にとっては霧で、
平地などその現象の外にいる者にとっては雲と見るのが普通です。



「FU」は「燃焼」が要因となる視程障害現象です。  
 「FU」は「煙(Smoke)」と読み、主に火事や工場の排煙などがこれにあたります。
  発生原因が明らかに判断されるときに限って使用され、そうでない場合は「煙霧(HZ)」と報じられることがあります。
  煙を通すと、日の出日の入りは非常に赤く、日中は橙色、都市部では黒っぽくなり、森林火災では緑がかった黄色、遠距離の発生地から一様に分布して広がるときは青みがかった色などに見えることが多い。


「VA」は「火山活動」が要因となる視程障害現象です。
 「VA」は「火山灰(volcanic ash)」と読み、火山灰の降灰がある際に通報されます。


「DU」は「固体微粒子」が要因となる広範囲の視程障害現象です。
 「DU」は「じん(Dust)」と読みます。
 「霧:FG」はその中では湿度が100%、「もや:BR」は70%程度となりますが、
 「DU」の中では、湿度は低い値となります。
 主に細かい落ち葉や草刈り後の草、その他ゴミなどによる粉塵が広範囲にわたって舞いあがったものを言います。
 粉じん爆発なんて言葉も有名ですが、小麦粉が舞いあがったりしたものなども広範囲にわたれば「DU」にあたります。
 発生原因が特定できない場合には「煙霧(HZ)」と報じられることがあります。



「SA」は「砂(sand)」と読み、「砂粒」が要因となる視程障害現象です。
 春の黄砂の時期などに偶に見かけます。



「HZ」は「煙霧(Haze)」と読み、主に「化学物質」が要因となる視程障害現象です。
 光化学スモッグなどの影響による視程障害現象で、風の弱い夏の日などに、特に関東地方や九州北部地方などでよく出されます。
 ちなみに光化学スモッグの「スモッグ」とは「Smoke(煙)」と「Fog(霧)」をかけ合わせた造語です。
 煙霧は、一般的には明るい場所では黄色がかって見え、暗い部分では青っぽく見えることが多いが、煙霧自体に色を持つこともあり、その場合には煙霧のその色自体が景色を決めることになります。
 そのほか、原因が特定できない視程障害現象もこれに含められることが多いです。



その他の現象

天気現象のその他の現象(other phenomena)は、
特殊な天気現象が現れた際に1つだけ付けられます。

「PO」は「じん旋風」と読み、「dust whirls , sand whirls , dust devil」等と呼ばれます。
 いわゆる「つむじ風」のことです。
 日射や地形によって発生する局地的な渦巻状の上昇気流のことで、雲が少なく風が強い晴天時に発生しやすいです。
 また、垂れ下がる雲を伴うことはなく、海上では発生しません。


「SQ」は、「スコール(squall)」です。
 今となっては一般的な意味合いは変わってきているのでしょうが、その本来の内容は「突風」です。
 「風が1分間で16kt以上増加し、22kt以上の状態が1分以上継続した状態」をスコールと言います。
 激しい大雨を伴うことが多いですが、「雨」は副次的な要因であって、必ずしも伴うものではありません。


「FC」は、「ろうと雲(funnel cloud)」です。
 積雲系の雲から垂れ下がるもので、一般に上昇気流の突風を伴います。
 地表面または海面に達するほどの強い勢力を持つものを、特に「+FC:竜巻(tornado , waterspout)」と言います。


「SS」は「sand storm」、
「DS」は「dust storm」ですが、日本語では一緒くたに「砂じん嵐」と言います。
 2つの違いは、粒子の大きさです。
 諸説有りますが、一般的に粒径 2mm未満 1/16mm以上のものを「砂」と言い、「SS」は吹き上げられている土壌粒子の大半が「砂」に分類されるものを言います。
 一方で、吹き上げられている土壌粒子の大半が「粒径 1/16mm未満」の際は「DS」に分類されます。
 視程は非常に悪く、巨大な壁が迫ってくるように感じます。
 壁の奥には激しい積乱雲を伴うことが多いですが、寒気の前面で雲を伴わずに発生することもあるようです。
 映画「インターステラー」の嵐が、これらに当たります。




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