AUPQ35 高層天気図


AUPQ35とは
「A:Analysis(実況解析)」
「U:Upper(高層)」
「PQ:Western North Pacific(太平洋北西部)」
「35:300hPa/5000hPa」
の意味で、日本語では「500hPa/300hPa実況高層天気図」といいます。


500hPaは概ね18000ft付近の高度帯を示します。
ニュースの天気予報でもよく聞く「気圧の谷」や「気圧の尾根」「上空の寒気」などを見る高度帯で、一番詳しく解析する図になるでしょう。

そして、小型機が主に上昇限度となる高度帯です。


300hPaは概ね30000ft付近の高度帯を示します。
ジェット気流を見ることができる高度帯で、
そして、旅客機が飛行を行う高度帯に近くなります。


発表時間はAUPQ78と同様で、毎日「9時」「21時」時点の観測結果をそれぞれの 2時間30分後 に配信されます。

気象庁ホームページで、PDFファイルで   9時時点  、  21時時点   のものを入手できます。


AUPQ35の色の塗り方

AUPQ78同様、AUPQ35も気象庁で「白黒」でしか入手できません。見やすく色塗りして解析しましょう。

500hPa図
1 「日本列島」を「黒」で縁取りして見やすくする。
2 同時間における地上の「高気圧 H 」の中心を「青」く塗る
3 同時間における地上の「低気圧 L 」の中心を「赤」く塗る
4 関連する地域の「気温線」を「青」で塗る
5 等高線の走行を見て「気圧の谷」を「茶色の破線」で示す
6 等高線の走行を見て「気圧の尾根」を「茶色のジグザグ線」で示す
7 12時間前のAUPQ35を参考に、12時間前時点の「気圧の谷」を「橙の破線」で示す
8 12時間前のAUPQ35を参考に、12時間前時点の「気圧の尾根」を「橙のジグザグ線」で示す
9 過去12時間での動きを参考に、12時間後時点の「気圧の谷」を「緑の破線」で示す
10 過去12時間での動きを参考に、12時間後時点の「気圧の尾根」を「緑のジグザグ線」で示す


300hPa図
1 「日本列島」を「黒」で縁取りして見やすくする。
2 「60ktの等風速線で囲まれた部分(60kt以上の場所)」を「茶色」で塗る。


気圧の谷、気圧の尾根

「気圧の谷」とは「トラフ」とも言い、「気圧の低いところが細長く帯状になった部分」を言います。
気圧の谷が通過する際は、たいてい雲が広がり、天候が崩れます。

「気圧の尾根」とは、「高気圧から伸びる、気圧の高いところの細長い帯状の部分」を言います
気圧の尾根が通過する際は、たいてい晴れの傾向にあり、完全に通り過ぎると天候は悪化傾向に変わります。


「気圧の谷」と「トラフ」の違い、「気圧の尾根」と「リッジ」の違い

「トラフ」や「リッジ」は、主に高層天気図において用いる言葉ですが、
「気圧の谷」や「気圧の尾根」は、高層天気図だけでなく地上天気図でも言うことができます。
地上天気図を指して「トラフが~~」とブリーフィングすると違和感を持つ人が多いので、言葉の使い方にも気を付けましょう。


500hPaのポイント

1 等高線の走行を見る
  気圧の谷の前面:天気は悪い。ここに位置する低気圧は発達する。
  気圧の谷の後面:天気は良い。ここに位置する低気圧は消散する。

2 等温線の走行を見る
  「等温線の振幅」と「気圧の谷の等高線の振幅」が同じくらい:谷は停滞
  「等温線の振幅」が「気圧の谷の等高線の振幅」より大きい:谷はゆっくり東進
  「等温線の振幅」が「気圧の谷の等高線の振幅」より小さい:谷は停滞、むしろ西進することもある。
  「等温線の振幅」と「気圧の谷の等高線の振幅」が逆位相:谷は速く東進

3 風の解析
  南西の風:天気は悪い。ここに位置する低気圧は発達する。
  北西の風:天気は良い。ここに位置する低気圧は消散する。
  台風の進む方向はこの高度の風の方向に対応する。
  冬は500hPaの強風軸北側付近に寒帯ジェットが位置する。

4 地上の高気圧・低気圧との対応の確認
  地上天気図にある気圧部が、500hPaでも存在している:背の高い気圧部(温暖高気圧、寒冷低気圧)
  地上天気図にある気圧部が、500hPaでなくなっている:背の低い気圧部(寒冷高気圧、温暖低気圧)
  背の低い気圧部は、500hPaの風の半分の速度で、等高線に平行に進む。

5 夏の太平洋高気圧の判定
  おおむねこの高度の5880m等高線が、夏の太平洋高気圧に対応する。
  台風はこの太平洋高気圧の淵に沿って移動することが多い。

6 冬の雪の判定
  この高度で、概ね-30℃以下だと降雪が見られ、-35℃程度以下だと大雪が見られるようになる。


7 ジェット軸の把握
 ・-25度の等温線が寒帯ジェットの気流を示すことが多い
 ・夏の5820hPaの等高線が亜熱帯ジェット気流を示すことが多い。


300hPaのポイント

1 ジェット軸の把握
  夏期は60kt等風速線で囲まれた位置がそのまま概ねジェット軸となる
  冬季は概ね日本列島北側に寒帯ジェットJpが、日本列島南側に亜寒帯ジェットJsが位置する。

2 地上の高気圧・低気圧との対応の確認
  地上天気図にある気圧部が、300hPaでも見える:とても背の高い気圧部



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