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航法

1 メルカトル図・ランバート図・正距方位図

メルカトル図は、日本語では「正角円筒図法」とも言われます。
通常は赤道を基準線として、南北に離れると拡大します。
日常生活では、おそらく一番頻繁に目にする図法で、Googleマップなども平面図ではメルカトル図となっています。

一方で、区分航空図や天気図にはランバート図が使用されます。
「ランバルト図」や「ランバルト正角円錐図法」などともいわれます。
ランバート図は極点を頂点とした扇形の地図で、特に中緯度において歪みが小さく、国土地理院の50万分の1地方図と100万分の1国際図でも使用されています。

また、正距方位図とは、
中心からの距離と方位が正しく記され、地球全体が真円で表される投影図です。
地球の裏側の一点が地図の円周となり、円周に近づくほど引き伸ばされて歪みが大きくなります。
国際線の最短経路(大圏コース)を見るために使われます。


2 真北と磁北

真北は地図の傾度線に平行な北方向のことです。
北極星のある方位が真北になります。

一方で、方位磁針のN極が指す方向を、磁北と言います。
現在の磁北の極点はカナダの北(78°N, 98°E)のあたりに位置しており、磁北点は刻一刻とずれています。

航空では、コンパスを使用するのでパイロットとしては磁方位の方がなじみ深くも感じますが、
METARの通報は真方位、ボイスでの通報は磁方位で行われたりもします。


3 偏角

英語では「variation」と言い、真北と磁北のずれがなす角のことを指します。
磁北点が動いていることから、このバリエーションも年々変化しています。
日本では国土地理院によって観測されており、
2021年3月現在は「2015.0年値」が最新の値となっており、
緯度と経度を変数として、

 偏差 $D_{2015.0}= 7^{\circ{}}57.201' +18.750' \varDelta \phi -6.761' \varDelta \lambda -0.059'(\varDelta \phi)^2 -0.014'\varDelta \phi \varDelta \lambda -0.579'(\varDelta \lambda)^2 $
ただし、$\phi$ は緯度(度単位)、$\lambda$ は経度(度単位)で、
 $\varDelta \phi = \phi - 37^{\circ{}}N$
 $\varDelta \lambda = \lambda - 138^{\circ{}}E$

の式で表されます。

とは言え、こんなややこしい計算をしなくてもAIPには空港のバリエーションが書いてありますし、
地理院地図には  地理院タイル  で示されています。


4 自差

自差は各コンパス固有の誤差です。
飛行場のコンパスローズ上で測定され、各方位を向いたときにそのコンパスがどれくらい誤差を含むかを示します。
コンパスも高性能化しているので、誤差は小さくなってはいますが、大きいものだと3度も4度も違ったりします。


5 WCA

「Wind Correction Angle」の略で」、
所望の経路を飛行するためにとるべき、「「航空機の機軸」と「速度の水平ベクトル」のなす角」のことです。
「無風」「正面風」「背風」の場合、WCAは0度になります。
航空機の推力ベクトルに、横方向の風成分が吹いたとき、WCAが必要となります。

逆に、所望のコースを飛行しているときに生じたWCAと速度差異を考慮することで、どの方向かどれくらいの風が吹いているのか計算することもできます。(測風)


6 野外飛行

野外飛行とは「航法技術の習得を目的とした飛行」のことを指します。
勘違いされることも多いですが、「航法技術の習得を目的」としていればローカルフライトでも野外飛行になり、距離も関係ありません。

航空法施行規則 別表第二 にある、事業用と自家用の「出発地点から○○○キロメートル以上の野外飛行で、中間において○○○回以上の生地着陸をするもの」の解釈と運用は、
平成6年11月16日発刊の「空乗第2129号」に示されており、

飛行機の場合
 自家用操縦270km以上・事業用操縦士540km以上

・中間における2回の生地着陸は、「異なる地点」
・飛行距離は、実際に飛行した経路に沿った距離ではなく、出発地-生地着陸地-目的地を直線で結んだ距離
・「生地着陸」とは、日常、離着陸基地として使用している飛行場以外の飛行場へのフルストップによる着陸のこと
となります。

7 地文航法・天体航法

地文航法とは、地形地物と航空図を目視で判読して行う航法です。
主として岬や駅、線路、高速道路などのランドマークを使用します。
最も初歩的で基本となる航法ですが、難しい面があり難関となります。

天体航法は星の位置により進路を算出する方法です。
最も初歩的な航法ですが、流石に現代ではほぼほぼ活用することはありません。
例)太陽に時計の短針を向けると12時と短針の中間が南
  北極星のある方が北
  腕を伸ばすと、親指の爪幅が約2度、人差し指から小指の爪幅が約1度、こぶしは約10度、掌が約20度 etc...


8 推測航法

推測航法とは、推測位置を基に行う航法です。
無線航法施設など無かった過去には地文航法や天体航法とともに組み合わせて行われたようですが、
現代では航法装置のトラブルなどが起きた際の予備的な位置づけとなっています。
緊急時に頼れるのは、原始的な地文・推測航法になるため、とっさの判断で行うことができるように普段から意識しておくことが大切です。


10 無線航法

電波航法とも言われ、航法装置を基に行う航法です。
NDB・VOR・TACAN・ILS・DME・GNSS などの種類があります。
最新のGNSS装置では「誤差数cm」と言われるほど非常に精度高く技術進歩が進んでいます。


9 フライオーバー、アーリーターン、リードターン

フライオーバーとはポイント上空をヒットして旋回を開始する方法です。
当然、ポイントを通り過ぎて経路に乗りなおすことになります。

アーリーターンは、オーバーシュートを減少させるために、ポイント上空の手前で旋回を開始する方法です。

変針角  変針点までの距離
15° (旋回半径)×0.15
30° (旋回半径)×0.3
45° (旋回半径)×0.45
60° (旋回半径)×0.6
90° (旋回半径)×1

リードターンは、旋回半径を考えて、オーバーシュートを0にして正確に次のlegへ乗る旋回の方法です。

変針角  変針点までの距離
15° (旋回半径)×0.1
30° (旋回半径)×0.2
45° (旋回半径)×0.3
60° (旋回半径)×0.4
75° (旋回半径)×0.6
90° (旋回半径)×0.8

リードターンが一番機械的に正確です。
しかし、高度・速度・風の影響やBank確立までの誤差、正確な現在地の把握などはとても難しく、
リードターンをしようと思っても大体がEarly turnになると思います。


10 リード量

1 ラジアルからアークへの族回のリード量
(1) 標準率旋回 対地速度の0.5%
(2) 1/2標準率旋回 対地速度の1%
(3) バンク角 30度 (MPM-2)又は(MACH x10-2)

2 アークからラジアルヘの旋回のり一ド量
  バンク角30度 (MPM-2)×60/アークの半径

3 アークの保持
(1) 連続した旋回による方法
  バンク角 (MPM-2)×30/アークの半径
(2) 連続した短い直線飛行による方法
  ベアリング・ポインターを参照点よりも5~10度上方に置くようにロールアウトしてヘデイングを保持し、
  ベアリング・ポインターが参照点の5~10度下方に来ると、再度ロールインし、(1)(2)を繰り返す。



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