操縦士の資格
1 航空従事者技能証明書
証明書の種類 | 航空機の種類 | 航空機の等級 | 航空機の型式 |
---|---|---|---|
自家用操縦士 | 飛行機 | 陸上単発 | 機種による |
事業用操縦士 | 回転翼航空機 | 陸上多発 | |
准定期運送用操縦士 | 滑空機 | 水上単発 | |
定期運送用操縦士 | 飛行船 | 水上多発 |
操縦士とは、航空機の操縦を行うことを業務とする者です。
そして、資格は操縦する航空機の「種類」が定められ、「等級・型式」を限定されます。
そして、資格ごとに「業務範囲」が定められます。
自家用操縦士は、
「報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦」を行うこと |
つまり、趣味などで操縦するのは良いですが、操縦をしてお金をもらうことはできません。
事業用操縦士は、
1 自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為 趣味の操縦など |
2 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。 警察や海上保安庁の操縦士など |
3 航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。 使用事業の機長 |
4 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。 運送事業の副操縦士 |
5 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、一人の操縦者で操縦することができるもの(特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機にあっては、当該特定の方法又は方式により飛行する航空機を除く。)の操縦を行うこと。 セスナでの運送事業の機長など |
つまりは、大きな旅客機の機長にはなれませんが、航空会社で操縦士として働くことができます。
准定期運送用操縦士は、
1 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。 |
2 機長以外の操縦者として、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機であって当該特定の方法又は方式により飛行するものの操縦を行うこと。 |
つまりは、「大型の旅客機の副操縦士」として働くことができます。
准定期運送用操縦士は比較的新しい資格です。
最初からJALやANAの社内養成コースなどに入る人は、以前は必ず事業用操縦士の資格を取らなければなりませんでした。
しかし、当然ながらそのような人たちは今後も「一人で」機長として飛ぶことはありません。
機長の下で「副操縦士」として勤務します。
「事業用操縦士」の資格は取得するのは勉強量も時間も費用も大変ですし、上記のような人たちはそんなに大変なのにその能力を当初は必要としていません。
そのため、効率的に「大型の旅客機の副操縦士」となるための資格が作られたのが、この「准定期運送用操縦士」です。
定期運送用操縦士は、
1 事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。 |
2 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、その操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。 |
3 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するもの(当該特定の方法又は方式により飛行する航空機に限る。)の操縦を行うこと。 |
つまりは、「大型の旅客機の機長」として働くことができます。
2 特定技能審査証明書
2年ごとの知識・技量確認自家用操縦士の事故が多発することへの対応として平成26年に施行された。
2年ごとにこの審査を受験して合格しなければ、操縦が認められなくなります。
つまりは「ペーパードライバー」は運転ダメですよ、ってことですね。
3 航空英語技能証明書
レベル | 内容 | 有効期限 | 備考 |
---|---|---|---|
レベル6 | エキスパートレベル | 無期限 | 言語的・文化的な機微を含めて、いかなる場合でもほぼすべての文脈を正確に理解できる。 |
レベル5 | 上級レベル | 6年間 | いかなる場合でも適切な言い換えをすることができ、専門用語等も理解できる。 |
レベル4 | 実用レベル | 3年間 | 冗語はあるが気になるほどではなく、意味が正確に伝わらないことは滅多にない |
レベル3 | 準実用レベル | - | 語彙が不足し、不測の事態が発生した場合の対応が不適切 |
レベル2 | 初級レベル | - | 非常に限られた知識で、内容も不適切なことが多い。 |
レベル1 | 準初級レベル | - | 初級を下回るレベル |
この実用レベル(レベル4)が、無線通信に要求される最低の習熟レベルです。
レベル4以上の資格がなければ、海外での操縦は認められません。
試験は受験者と対話者の一対一で行われ、1コマ・4コマ・6コマ等の画像の説明を行ったり、模擬ATCを行ったりします。
4 航空身体検査証明書
1 第1種航空身体検査証明書ア 定期運送用操縦士
イ 事業用操縦士
ウ 准定期運送用操縦士
2 第2種航空身体検査証明書
ア 自家用操縦士
イ 練習生
有効期間は6か月~5年までかなり細かく設定されています。
航空医学研究センター などを参照するべし。
なお、更新するときは有効期間満了日の「45日前」から交付を受けられるように受験することで、有効期間の満了日翌日からの期限で更新できます。
しかし、2024年4月現在、なぜなのか45日前以降にしか「受検」を行ってくれません。
法的には「45日前に「交付」」をすればよいはずなので、
46日前などに受検しても問題ないはずなのに、
大臣判定の必要がある者以外の健常な者は、45日前以降にしか受検を許されていません。
なぜなのでしょうか。
もし理由のわかる人がいればぜひともご連絡いただけると幸いです。
5 計器飛行証明書
以下の飛行を行う際に必要な資格1 「計器飛行」:航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行
2 「計器航法による飛行」:航空機の位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行
で110km又は30分以上を超えて行うもの、
3 「計器飛行方式による飛行」:常時、管制官等の指示や情報提供に従って行う飛行
6 教育証明操縦
以下の飛行を行う練習生の監督を行う際に必要な資格1 技能証明を有しない者が操縦の練習をする場合
2 有している技能証明と違う「種類」の航空機の操縦練習をする場合
7 航空無線通信士、航空特殊無線技士
航空機に乗り組んで無線設備の操作を行うために必要な無線従事者としての免許航空機使用事業の航空機局の操作であれば航空特殊無線技士でもよいが、
航空運送事業用航空機の航空機局や、航空交通管制を行う航空局の操作を行うには、航空無線通信士の資格が必ず必置となります。
操縦練習を行う際は、電波法施行規則33条の2第3項の特例により、教官が航空無線通信士を所持していれば、練習生が資格を持っていなくても教官の指揮の下で無線を操作できるが、単独飛行を行う際には必ず、自分で資格を取得していなければ飛行できません。
また、資格を有している者でなければ、「遭難通信」「緊急通信」は行うことができません。
とはいえ、正に人命、身体、自由、財産の危難を避けるために他の手段がなく、やむを得ずに行う緊急的な通信であるなら、刑法の緊急避難が適用される可能性はあると思われます。