航空機の燃料

燃料の一滴は血の一滴
燃料なければ航空機は飛びません。
常に残燃料を把握して、あとどれくらいの時間・距離を飛行できるのかいつも計算を怠らないようにしましょう。

燃料の種類

1 原油から精製した燃料
(1)航空ガソリン(AVGAS100LL)
(2)航空タービン燃料油(ジェット燃料)
  ア ワイドカット系(JET-B,JP-4)
  イ ケロシン系(JET-A-1,JP-8)
2 合成ジェット燃料
(1)液化石油ガスからの精製(GTL)
(2)天然ガスからの精製(GTL)
(3)石炭からの精製(CTL)
(4)アルコールからの精製
3 バイオ燃料
(1)非食用油脂からの精製(カメリナ,ジェトロファ,藻 等)
(2)食用油脂からの精製(トウモロコシ 等)
(3)植物廃棄物からの精製(木くず,わら 等)

航空燃料に求められる性質

1 発熱量が大きいこと
  単位重量当たりの発熱量が大きいと、少ない重量で長く遠くまで飛行できる。
2 適度な揮発性
  揮発性が低過ぎると低温時の始動時や再始動で点火せず、揮発性が高過ぎると「ベイパーロック」 が起きやすくなる。
3 凍結しにくいこと
  「析出点(Freezing point)」が厳しく定められ、燃料の粘度が過剰に高まりフィルターで詰まることの無いようにする。
4 腐食性がないこと
  燃料の水分、酸素、硫黄化合物等がエンジンを腐蝕・磨耗させる原因となる。
5 電気伝導度が高いこと
  配管内壁との摩擦によって静電気が生じ、過大に電力が溜まると火災を誘発する可能性につながる。
  電気伝導度を高めるために静電気防止剤を添加することも多い。
6 貯蔵安定性が高いこと
  燃料中に不飽和炭化水素が多く含まれると、時間とともに変化してガム状の塊が生じることがある。
7 熱安定が大きいこと
  燃料が高温加熱されると、内部に分解生成物が生じることがある。


航空ガソリン

 「航空機用ガソリン」「Aviation gasoline」略して「アブガス」と言われる。
 ピストンエンジン(レシプロエンジン)に使用される。
 車に使われるガソリンよりもアンチノック性や蒸気圧、酸化安定性などがより厳しい条件で精製されている。
 また、AVGASには四エチル鉛、自動車用ガソリンにはMTBAと言う成分が添加されていることが多い。
 以前はAVGAS80(赤色)やAVGAS100(緑色)等も使用されていたが、現在日本ではAVGAS100LL(青色)のみ使用されている。
 
 AVGAS100LLの「100」は「オクタン価が100である」ということを、「LL」は「low lead」の略で、微量の鉛が含まれていることを示す。


ワイドカット系ジェット燃料

 「灯油留分の灯油」と「ガソリン留分の軽揮発油と重揮発油の混合油(ナフサ)」が概ね半々で混合されたもの。
 ケロシン系に比べて比重が軽く、低温での着火性が良いのが特徴。
 民間では主に「JET-B」、軍用では「JP-4」等が使用されている。
 JET-Bがざっくり「灯油30%、ナフサ70%」、「JP-4」がざっくり「灯油50%、ナフサ50%」。  耐寒性能が優れる反面、引火点も低く取り扱いが難しいことから、民間ではカナダ、アラスカなどの寒冷地で厳冬期に使用されるのみ。
 軍用では、昔の戦略で高高度からの爆撃などを考慮していたことから、その名残で近年まで長く広く使用され続けてきた。しかし、ようやく航空自衛隊でも2018年頃にケロシン系のJET-A系に変更した。


ケロシン系ジェット燃料

 灯油溜分から精製される。
 市販されている灯油とほぼ同じだが、要求される環境条件や添加剤や不純物に関する規格が厳しい。
 民間では「JET-A-1」が使用されている。
 軍用では「JP-8」が代表的であるが、価格や代替燃料の確保の観点から、近年では「JET-A-1」に更に防氷剤等を添加した「JET-A-1+」が使用されている。
 ケロシン系はワイドカット系に比べて析出点が高いので、この点で問題となりやすい。


持続可能な航空燃料(Sustainable aviation fuel; SAF)

 長期的な地球環境・社会・経済の持続可能性を考慮した基準を満たす燃料のこと。
 日本では2020年10月ごろより、全日空がNESTE社シンガポール工場より燃料を調達して使用を開始している。
 しかし、精製から運用までの運搬等も含め、全体的な2酸化炭素排出量などを考慮すると、まだまだこれからの発展が望まれる。

2025年12月現在においては、 ASTM D7566 規格 にて
 Annex 1: Fischer-Tropsch 法により精製される合成パラフィンケロシン(FT-SPK)
 Annex 2: 植物油等の水素処理により精製される合成パラフィンケロシン(HEFA-SPK)
 Annex 3: 発酵水素化処理糖類由来のイソ・パラフィン(SIP)
 Annex 4: 非化石資源由来の芳香族をアルキル化した合成ケロシン(SPK/A)
 Annex 5: アルコール・ジェット由来の合成パラフィンケロシン(ATJ-SPK)
 Annex 6: 食用油及び微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)由来の超臨界水熱分解によるジェット燃料(CHJ)
 Annex 7: 微細藻類ボツリオコッカス・ブラウニー由来の水素化処理による合成ケロシン(HC-HEFA SPK)
 Annex 8: 混合アルコール由来のAtJ (ATJ-SKA)
が、ジェット燃料の代替として認められている。


燃料換算(自作)

燃料換算表を自作しました。
ざっくりの数字なので誤差はありますが、実用には耐えるのではないかと思います。


・AVGASの密度
 概ね $ 750 [ kg / m^3 ] = 0.720 [ kg / L ] = 1.588 [ lbs / L ] = 45 [ lbs / ft^3 ] $

・JET A-1の密度
 概ね $ 800 [ kg / m^3 ] = 0.800 [ kg / L ] = 1.76 [ lbs / L ] = 50 [ lbs / ft^3 ] $


AVGASの供給問題について

ピストンエンジンを使用している小型航空機の燃料にはAVGASが広く使用されています。
日本でも、2014年4月までは和歌山県の東燃ゼネラルがAVGASを製造していましたが、それも撤退。
2024年3月現在ではこのほぼすべてを韓国からの輸入に依存しています。

AVGAS製造はお金にならないんですね。

製造だけではありません。
給油できる場所もすごい勢いでどんどん無くなっています。

愛別飛行場や阿見飛行場などは空港の供用自体なくなってしまいました。
福島や山形、静岡、南紀白浜、福岡、種子島、まさかの北九州や鹿部、丘珠、花巻、出雲、高松からもAVGASの供給が無くなりました。
北海道の中では帯広の他に給油できる場所もなく、ピストンエンジンの小型機で稚内や女満別などに行くのはとてもリスクの高い飛行になっています。
調布空港は燃料補給の目的での利用を禁止しているうえ、登録されている機体以外は離着陸どころかローアプローチすら利用できません。
結果、関東でAVGASを給油する際の選択肢は竜ヶ崎飛行場、本田エアポート、大利根飛行場、大島空港のみです。
しかし、竜ヶ崎も本田も公共の飛行場でなく事業者等が独自に運営する飛行場であり、大利根に至っては場外離着陸場です。
滑走路長も600m-800mなどとても短く、通常の離着陸にすら特段の注意を要します。
関東から西に向かうにしても、名古屋、八尾に至るまで給油所はありません。
熊本空港などは給油はできると言っているものの、離着陸のためのエプロンへの立ち入りにすら警備員の同行が必要など小型外来機の運用に非常に厳しい制限を設けています。
小松空港の様に、小型機はアプローチすら禁止としている空港もあります。
燃料補給をできる場所が少ないのも航空ガソリンの料金が高騰している要因の一つです。
旅客機に使われるジェット燃料はよく注目されますが、航空ガソリンについてもどうにか世間の注目を向けていきたいですね。
小型機は航空の裾野であり、多くのパイロットの入口です。
パイロット不足は以前から叫ばれますが、その育成を行う小型機が日本の空を飛べなくなることも近い将来あるかもしれません。

日本でAVGASを給油できる場所

(参考: 日本の空港 等)
北海道
空港給油会社備考
帯広YSヤマショウ(株)
東北
青森(有)船水礦油販売
仙台(株)パシフィック
仙台SGC佐賀航空(株)
新潟新潟米油販売(株)
関東
竜ケ崎新中央航空(株)非公共用
(大利根)(株)新日本MGC場外離着陸場
ホンダエアポート本田航空(株)非公共用
(調布)石野礦油(株)給油のための着陸不可
登録機以外の着陸不可
大島旭商事(株)
中部
松本松本シェル石油(株)
名古屋マイナミ空港サービス(株)
能登日本航空学園学園専用エプロンでのみ給油可。駐機は不可。要事前調整。
福井水上商事(株)
関西
八尾マイナミ空港サービス(株)
八尾SGC佐賀航空(株)
但馬但馬空港ターミナル(株)
中国
岡南岡山空港ターミナル(株)
四国
高知入交石油(株)
松山藤村石油(株)エプロンに給油車が入れず、外周道路から給油
九州・沖縄
佐賀SGC佐賀航空(株)
大分県央JAぶんご大野
宮崎日米商会(株)
熊本センコー(株)
鹿児島南国殖産(株)
奄美大島石油(株)ドラム缶給油
那覇(株)沖航燃


有鉛ガソリンの規制について

1910年ごろ、自動車会社はエンジンの「ノッキング」を防止する方法について研究していました。
その結果、1921年にアメリカの自動車大手ゼネラルモーターズがガソリンに TEL(Tetraethyl lead / テトラエチル鉛 / 四エチル鉛)を添加することで、エンジンのノッキングが防止され、更にエンジン内部に使われるバルブシートを保護する効果も得てエンジン出力が向上されることを発見しました。
TELは当時から、皮膚吸収で鉛中毒を引き起こす有毒物質としてその危険性が認知されていたものの、TELの有用性とその他にノッキングを防止する有用な方法もなかったことから、そのまま添加剤として使用されることになりました。
結果、GMは1923年2月にTEL入りガソリン「商品名:エチル」の販売を開始しました。
しかし、TEL入りガソリンが市場に出回ったことで、鉛中毒による健康被害が報告されることとなりました。
1960年代には、大学研究者が有鉛ガソリン由来の鉛の影響で鉛の同位体の測定が難しくなったことに気づき、1965年に論文の中で「人体が慢性的に鉛の被害を受けている危険性」を報告しました。
1970年代には、環境保護当局が「有鉛ガソリンは大気汚染の原因となる」と報告。
1980年代にかけては、小児科医が「鉛中毒は発達障害の原因となる」と訴えました。
これらの影響からTELの規制が進みます。

日本では1975年にレギュラーガソリン、1987年にはハイオクガソリンが完全に無鉛化され、米国では1996年に自動車用有鉛ガソリンの販売が正式に禁止、アルジェリアで2021年8月に販売中止されたことをもって、自動車用有鉛ガソリンは全世界で全廃されました。

この際、TELの代わりにノッキング防止に使用されたのは芳香族炭化水素やエタノール等でした。

これらの代替添加物は自動車の圧縮比には耐えるガソリンにすることができた一方、航空燃料として使用するには、
 ・オクタン価向上が不十分でエネルギー密度が下がってしまい、
 ・バルブシート保護効果もなくなってしまい、
結果、航空の安全性が担保できませんでした。

そのため、航空ガソリンには引き続きTELが使用されることとなりました。

現在多く使用される航空ガソリンは「AVGAS 100LL」です。
これは「Aviation Gasoline 100-octane, Low Lead」の略です。
青色で、ASTM D910の規格に基づいています。
「Low Lead」の名の通り、「少量の鉛」が添加されており、これがTELのことです。


AVGASの中身

1.エネルギー源となる「アルキレート」(ブタン・ブテン等)
2.低温下での蒸気圧を確保する「ライトエンド」(イソペタン等)
3.オクタンを生成する「芳香族化合物」
4.オクタン価を「100」の規格まで上昇させる「「「オクタン価ブースター」」」

この「オクタン価ブースター」に「TEL」が使用されます。
オクタン価は爆発に対する抵抗力の尺度です。
オクタン価が高いほど圧縮比が高くなります。
通常、車で使用される一般的なガソリンはレギュラーが89、ハイオクが96オクタン価です。
これを航空ガソリンとして使用するために100オクタンまで上昇させるのが「オクタン価ブースター」であり、「TEL」です。

さらに、TELはバルブシートに保護層を作り、バルブシートの腐食を防ぐ役割も担っており、これがさらに代用の難しい重要な要素となっています。
TELを使わずにバルブシートの腐食を防ぐ道筋は2つ。

一つが「添加剤の追加」、
もう一つが「硬化バルブシートの使用」です。

ただし、硬化バルブシートを使用するにはエンジン設計から変更する必要がある上、整備性が悪化します。

これまでのところTELの代替となる添加剤は存在せず、全てのピストン航空機のエンジン設計を変えるのは非現実的です。


FAAの取り組み

航空ガソリンに添加するTELの代替が技術的に難しいのはそうですが、鉛自体が人体に有害で、大気汚染の原因となっているという事実は変わりません。

そのため、航空ガソリンの無鉛化の取組みは続きます。

1991年にアメリカで調整研究評議会無鉛Avgas開発グループが発足。
以来20年経ても、有効策はできませんでした。
2012年、FAAは無鉛AVGAS移行航空規則制定委員会(UAT ARC:Unleaded AVGAS Transition Aviation Rulemaking Committee)を発足。
UAT ARCは課題の整理と解決策の制定として包括的な報告書を作成し一般に公開しました。
2014年、FAAはこの報告に基づき、代替無鉛燃料候補の評価を支援するため、ピストン航空燃料イニシアチブ(PAFI)を設立しました。
PAFIにて様々な燃料化学組成を検討した結果、やはり100LL燃料規格に準拠しすべての航空機エンジンの性能要件を満たす無鉛燃料は未だ実現不可とされました。
2018年、FAAは再認可法177条を追加し、PAFIプログラムを活用して新たな無鉛燃料候補を探索するよう指示し、NASEMが2021年に報告書を提出しました。
このNASEM 2021報告書を受け、2022年2月に、複数の一般航空業界団体、米国石油協会(API)、およびFAAが、航空ガソリン鉛排出削減イニシアチブ(EAGLE)を設立。
このEAGLE官民イニシアチブの目標は、「既存の一般航空機材の安全かつ効率的な運航に悪影響を与えることなく、2030年末までに米国のピストンエンジン航空機における鉛航空燃料の使用を廃止すること」です。


そのさなか、カリフォルニア州の一部地域など代替燃料の確保を待たずして有鉛ガソリンの販売禁止などの強硬的な措置を開始する地域も出現してきました。
2022.1 カリフォルニア州サンノゼ サンタクララ群がリードヒルビュー空港とサンマルティン空港で100LLの販売を禁止しました。
急激な禁止は一般航空に容認できない損害を引き起こしますが、環境活動家は待ってはくれません。

EPA(米国環境保護庁:Environmental Protection Agency)は、2022.10.17航空機からの鉛排出が大気汚染の一因であると大々的に発表しました。
これにより国の方針としてFAAに規制を求めるプロセスが開始となり、最終的に航空燃料への鉛の使用が禁止される規則が策定されることが確定しました。
しかし、カリフォルニア州の一部地域に続いて各地でも規制の動きが早まります
ニューメキシコ州は2028.1.1から有鉛航空燃料の販売禁止を提案し、議会で否決されました。
ワシントン州は2026年から段階的禁止の提案。これも議会で否決されました。
2024.8 カリフォルニア州全体として、2031年より有鉛ガソリンの販売や配布を禁止する法案が議会を可決。2024.9.22カリフォルニア州知事が署名しました。
当初は2026年から段階的に禁止となるところでしたが、航空業界団体による大規模なロビー活動により、法案はFAAの2030年期限に沿う修正案を勝ち取りました。しかし、無鉛ガソリン開発・流通がその期限に間に合おうが間に合わなかろうが、期限には有鉛航空ガソリンの販売・配布が禁止されることになりました。
カリフォルニア州で法案が可決したからには今後ほかの州でも同様の法ができることが予想されます。

急激な禁止は一般航空に容認できない損害を引き起こしますが、とはいえ、2030年までには無鉛ガソリンへの移行を完了しなければなりません。

さらにいえば、2025年現在、米国におけるTEL供給元は1社のみで、この供給元もTEL添加剤の生産終了を示唆しており、この1社のTEL供給が終了した場合、中国への依存などサプライチェーンへの懸念が生じることも無鉛ガソリンへの移行の緊急性を上げています。

また、100LL自体の需給変動にも懸念があります。
精製業者は、ジェット燃料など、より一般的に大量に使用される他の燃料需要に基づいて、AVGASの生産量を削減しています。例えば、米国エネルギー情報局によると、2023年の米国のジェット燃料消費量は約253億ガロンであるのに対し、AVGAS消費量は約1億8000万ガロンでした。AVGAS生産施設の総数も大幅に減少しています。


さて、アメリカの話はよいですが、日本はどうなるのでしょうか。
アメリカの製造がすべて無鉛ガソリンになる流れの中、世界もそれに倣うでしょう。
これまでとは違う製造となり、流通量が減少することも予想されます。
当然のように価格も高騰する可能性もあります。
日本は航空ガソリンを製造していません。
日本は航空ガソリンを製造できません。
現在日本で販売されているほぼすべてが韓国からの輸入です。
日本の航空ガソリンに安定供給の保証はまったくありません。
日本政府は小型航空機業界に大きなダメージを受ける可能性をどれだけ認知しているのでしょうか。。。
一般航空は航空の裾野であり、多くのパイロットの入口です。
パイロット不足は以前から叫ばれますが、その育成を行う小型機が日本の空を飛べなくなることも近い将来あるかもしれません。
今後数年で、航空ガソリンに関する環境は大きく変化するでしょう。
旅客機に使われるジェット燃料はよく注目されますが、航空ガソリンについてもどうにか世間の注目を向けていきたいですね。
というかジェット燃料のSAFなんかよりよっぽどAVGASの確保の方が大問題ではないでしょうか。。。



PAFI・EAGLEの要求事項

 ・AVGAS100LLと完全に混合可能なこと
 ・他の新しい無鉛燃料とも完全に混合可能なこと


2024年FAA再承認法第827条
 連邦航空局(FAA)は、航空ガソリン鉛排出の排除(EAGLE)の使命を遂行し、以下の事項を促進するために必要な措置を講じること。

• 一般航空(GA)機体の安全かつ効率的な運用に悪影響を与えることなく、2030年末(アラスカ州は2032年末)までに、米国のピストンエンジン航空機による鉛航空燃料の使用を廃止すること。
• すべてのピストンエンジン航空機およびピストンエンジンモデルで使用する無鉛代替燃料を承認すること。
• 航空ガソリンの継続的な供給をすること。
• 国家統合空港システム計画(NPIAS)において、無鉛航空ガソリンを空港で広く購入•使用できるようにするため取り組むこと。
• 無鉛航空ガソリンへの移行計画(移行計画)を策定すること。


EAGLEの新燃料の使用認可するためのプロセス

1.型式証明(TC)/補足型式証明(STC)プロセス
TC/STC プロセスは、標準耐空証明書を持つエンジンと航空機にのみ適用され、承認を申請する航空機および航空機エンジンの各モデルがFAA規制に準拠していることを、申請者が証明する必要があります。100LL燃料との性能同等性は必須ではなく、燃料と供給インフラとの適合性は、TC/STCプロセスにおけるFAAの評価の範囲外です。
TC/STC プロセスは、標準耐空証明書を持つエンジンと航空機にのみ適用されます

GAMIとSwift Fuelsはこのプロセスを採用しました。
GAMIは、全ての航空機でG100ULを使用するためのSTC AML承認を取得しています。
Swift Fuelsは、Lycoming IO‑360‑L2AエンジンのエンジンSTCとCessna 172 R/Sの航空機STCを最初に取得しています。


2.フリート認可プロセス
フリート認可プロセスは、100LL燃料の代替燃料として無鉛AvGasを広く使用できるようにするためのものです。
フリート認可プロセスでは、標準耐空証明書を持つエンジンまたは航空機での燃料の使用を認可するだけでなく、特別耐空証明書を持つ航空機での燃料の使用を認可し、実験的耐空証明書を持つ航空機の所有者に燃料を安全に使用するためのデータを提供することもできます。

LyondellBasell/VP Racing が提案する燃料 UL100E は、現在フリート認可プロセス中の唯一の燃料です。
この燃料は、高性能無鉛自動車レース燃料の経験に基づいて開発されました。UL100Eのフリート認可は2027年春を予定しています。


PAFI・EAGLEの参加団体

2025年9月現在、開発•導入の様々な段階にある3種類の無鉛燃料候補が存在します。

1.GAMI(General Aviation Modifications, Inc.)
  作成燃料:G100UL(黄緑/緑/青緑 GAMI G100UL-12C9)
  芳香族アミンをブースターに使用
  FAAの承認を2022.9に取得済み。
  ただし、米国材料試験協会のASTM規格を取得せず、AMS STC(追加型式設計承認)で使用する独自仕様となる。

2.Swift fuel
  作成燃料:UL91(赤 ASTM D7547)・UL94(紫 ASTM D7547)・100R(緑 ASTM仕様保留中)
  芳香族トリメチルベンゼンを使用し、ETBE(エチルtertブチルエーテル)をブースターに使用
  低圧縮エンジンでのみ使用できるUL94はすでに流通までして一般に使用されている。
  高圧縮エンジンでの使用を想定した100Rは一部機種でSTC(追加型式設計承認)を取得済みだが、更にASTMを取得することを追求。

3.ライオネルバセルVPレーシング
  作成燃料:UL100E(橙 ASTM仕様保留中)
  MMTとETBEとメタトル等の配合組み合わせを検討
  フリート認可を計画しており、ASTM仕様で開発中



利害関係者が特に懸念しているのは、さまざまな無鉛燃料を混合した場合の影響です。
複数の燃料が同一の航空機に認可されているにもかかわらず、混合が不可能な場合、運用上の大きな課題とリスクが生じます。このようなシナリオは、地域市場の細分化のリスクをもたらし、全国移行の大きな障害となる可能性があります。
また、誤給油のリスクが高まり、安全上の懸念が生じる可能性があります。これらの理由から、FAAはこの段階で様々な燃料の混合性試験を実施する可能性があります。燃料提供者には、燃料が利用可能になった時点で、それらの混合性についても評価することが推奨されます。


すべての燃料は承認前に代表的な試験を受けますが、航空機やエンジンの設計、材料、運用方法が多岐にわたるため、運用中に問題が発生する可能性があります
2023年10月、ノースダコタ大学は、ライカミング社製エンジンにおけるUL94の使用とバルブシート後退(VSR)に関する懸念を報告しました。UL94は特定の条件下ではVSRに影響を与える可能性があるとのことです。しかし、燃料特性や燃焼ダイナミクスの影響は複雑な問題であり、潜在的な根本原因を特定することは困難です。
2024年12月、 カリフォルニア州の航空機•動力装置整備士(A&P)によると、G100UL無鉛燃料は特定の状況下で航空機の塗装を損傷する可能性があるとのことです。同整備⼠は、G100ULと100LLの適合性試験を独⾃に実施しました。また、同整備⼠は、新品のニトリル製Oリングを無鉛燃料に5〜6⽇間浸漬させたところ、認定限度を超えて膨張したと述べています。GAMIは、ニトリル製部品をシリコン製またはフッ素樹脂エラストマー製のものに交換することを推奨しています。
2024年6月、シーラス社はサービスアドバイザリSA24‑14を発行し、G100ULが燃料タンクシーラントの劣化を引き起こすという具体的な懸念事項を明らかにしました。繰り返しになりますが、基質の準備から燃料の化学組成に至るまで、複数の要因が観察された劣化に影響を与えている可能性があり、燃料開発者とシーラス社による継続的な努力にもかかわらず、根本原因の特定は困難です。

2025 年 3 月、FAA は調査を容易にするため、SAIB を通じて無鉛燃料の経験に関する報告の増加を要求しました。正確かつ完全なユーザーエクスペリエンスの報告は、フェーズ2全体を通して非常に重要であり、フェーズ3における国家移行の参考となります。報告された問題は、関係する航空機、エンジン、燃料機関によって調査される必要があります。


MAX cruiseについて

drag polar

揚抗比のグラフ「drag polar」と、「原点を通る直線の接線」の交点となる「 $C_L$ 」と「 $C_D$ 」が最も効率が良い。「 $C_L$ 」と「 $C_D$ 」


Optimum altitude

「最適高度」の意味。「Optimum」はラテン語で、英語の「Best」の意味。
揚抗比が最大となる高度が最適高度。
つまり、グラフの頂点になるところが最適高度。
航空管制の都合もあるのでこの高度を飛べるとは限らないが、この高度を飛行するのが一番燃費が良い。


Max cruise timeの速度

  燃料が尽きるまで飛んだときに、一番長い時間飛んでいられる速度。
  軍用ではこの速度のことを「サンター」と言われる。
  工学的には「drag bucket」の底(最低値)となる速度。


Max cruise rangeの速度

  燃料が尽きるまで飛んだときに、一番遠くまで飛べる速度。
  この速度で巡行する飛び方を「最大巡航方式」という。
  軍用ではこの速度のことを「ライナー」と言われる。
  工学的には「drag bucket」と、原点を通る直線による接線の交点となる速度





<< 前のページに戻る