AIRMANSHIP

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航空機の運動方程式

何よりもまず結論から示すと、

並進運動  (FxFyFz)=m(u˙+qwrvv˙+rupww˙+pvqu)

回転運動  (L¯M¯N¯)=(Ixp˙(IyIz)qrIxy(rpq˙)Iyz(q2r2)Izx(r˙+pq)Iyq˙(IzIx)rpIxy(qrp˙)Iyz(r˙+pq)Izx(r2p2)Izr˙(IxIy)pqIxy(p2q2)Iyz(q˙+rp)Izx(p˙qr))



以下は、この式の導出から変形等を示す。

使用する記号等


機体固定座標系
  x軸:機首方向 y軸:右翼方向 z軸:機体の腹方向 の右手系
  重心:C

地面固定座標 xe 軸 , ye 軸 , ze 軸   earth
  原点:O
  オイラー角 (ϕ,θ,ψ)
  ϕxe 軸周りの角度 roll角
  θye 軸周りの角度 pitch角
  ψze 軸周りの角度 yaw角

機体の質量 m
機体の一部の微小質量 m

重心の位置ベクトル rc
微小質量の位置ベクトル rm
微小質量の重心からの位置ベクトル r

速度 V=(u,v,w)
角速度(機体の重心C周りの回転ベクトル) ω=(p,q,r)
全外力 F=(X,Y,Z)
モーメント (L,M,N)
角運動量 H=(Hx,Hy,Hz)

x軸,y軸,z軸に関する慣性能率 (Ixx,Iyy,Izz)
x-y面,y-z面,z-x面に関する慣性乗積 (Ixy,Iyz,Izx)

迎角 αtanα=wu
横滑り角 βsinβ=vV
飛行経路角 γγ=θα
上反角 ΓΓ=zexe2+ye2

舵角 (δa,δe,δr) : エルロン角、エレベータ角、ラダー角

u,v,w=f(u,v,w, p,q,r, θ,ϕ,ψ, m,T,ρ,V,S, Cx,Cy,Cz)
p,q,r=f(p,q,r, Ix,Iy,Iz,Ixz, ρ,V,S,c,b, Cl,Cm,Cn)


回転座標系の時間微分の仕方

通常、固定座標系においては、
 xeを微分すると、dxedt となるが、

角速度 ω で回転する回転座標系を基準に考える場合、
 xeを微分すると、dxedt=dxdt+ω×x となる。

航空機の運動方程式の導出(並進運動方程式)

重心の位置ベクトル rc
微小質量の位置ベクトル rm
重心から微小質量の位置ベクトル r  の関係は、

 rm=rc+r

微分すると
 drmdt=drcdt+(drdt+ω×r)

rは時間によって変化することはない定数なので、drdt=0
 drmdt=drcdt+ω×r

drcdt は機体重心の速度ベクトルであり、機体座標系の成分で表すと  drcdt=vc=(u,v,w) なので、

 drmdt=vc+ω×r
 (速度の式)

もう一回微分すると
d2rmdt2=(drcdt+ω×r)+(ddt(ω×r)+ω×(ω×r))=(drcdt+ω×r)+(dωdt×r+ω×drdt)+ω×(ω×r)=drcdt+ω×vc+dωdt×r+ω×(ω×r) 

 (加速度の式)


微小質量に係る外力を F とすると、
ニュートンの第2法則 F=mα より、
F=md2rmdt2=m(drcdt+ω×vc+dωdt×r+ω×(ω×r)) 


積分して、機体全体の質量にして考えると
F=dm(drcdt+ω×vc+dωdt×r+ω×(ω×r))=dm(drcdt+ω×vc)+dωdt×rdm+ω×(ω×rdm) 


rは時間によって変化することはない定数なので、rdm=0
よって、
F=dm(drcdt+ω×vc)=m(drcdt+ω×vc)

成分表示をすると
 (FxFyFz)=m{ddt(uvw)+(pqr)×(uvw)}=m{(u˙v˙w˙)+(qwrvrupwpvqu)}=m(u˙+qwrvv˙+rupww˙+pvqu) 

 (並進運動の方程式)


航空機の運動方程式の導出(回転運動方程式)

回転運動のモーメントを考える。
微小質量mにかかるモーメントは、

r×F=r×m(dvcdt+ω×vc+dωdt×r+ω×(ω×r))=m(r×(dvcdt+ω×vc)+r×(dωdt×r)+r×(ω×(ω×r)))


行列の外積の計算の仕方 [A×(B×C)=(AC)B(AB)C] なので
r×F=m(r×(dvcdt+ω×vc)+(rr)dωdt(rdωdt)r+r×((ωr)ω(ωω)r))=m(r×(dvcdt+ω×vc)+(rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r)(ωω)(r×r)


r×r=0 なので、

r×F=m(r×(dvcdt+ω×vc)+(rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r))


積分して、機体全体の質量にして考えると
r×F=dm(r×(dvcdt+ω×vc)+(rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r))=rdm×(dvcdt+ω×vc)+dm((rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r))=0+dm((rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r))=dm((rr)dωdt(rdωdt)r+(ωr)(ω×r))


成分表示をすると
(L¯M¯N¯)=dm{(xyz)(xyz)}ddt(pqr){(xyz)ddt(pqr)}(xyz)+{(pqr)(xyz)}{(pqr)×(xyz)}


=dm{(x2+y2+z2)(p˙q˙r˙)(xp˙+yq˙+zr˙)(xyz)+(px+qy+rz)(yrzqzpxrxqyp)}


=dm{((x2+y2+z2)p˙(x2+y2+z2)q˙(x2+y2+z2)r˙)(x2p˙+xyq˙+zxr˙xyp˙+y2q˙+yzr˙zxp˙+yzq˙+z2r˙)+(xyrpzxpq+y2qryzq2+yzr2z2qrzxp2x2rp+yzpqxyqr+z2rpzxr2x2pqxyp2+xyq2y2pq+zxqryzrp)}


=dm((y2+z2)p˙+(y2z2)qrxy(rpq˙)yz(q2r2)zx(r˙+pq)(z2+x2)q˙+(z2x2)rpxy(qr+p˙)yz(r˙pq)zx(r2p2)(x2+y2)r˙+(x2y2)pqxy(p2q2)yz(q˙+rp)zx(p˙qr))


=((y2+z2)dmp˙+(y2z2)dmqrxydm(rpq˙)yzdm(q2r2)zxdm(r˙+pq)(z2+x2)dmq˙+(z2x2)dmrpxydm(qr+p˙)yzdm(r˙pq)zxdm(r2p2)(x2+y2)dmr˙+(x2y2)dmpqxydm(p2q2)yzdm(q˙+rp)zxdm(p˙qr))


ここで、 
{(y2+z2)dm =Ix (z2+x2)dm =Iy (x2+y2)dm =Iz xydm =Ixy=Iyx yzdm =Iyz=Izy zxdm =Izx=Ixz
とすると、

(L¯M¯N¯)=(Ixp˙+(IyIz)qrIxy(rpq˙)Iyz(q2r2)Izx(r˙+pq)Iyq˙+(IzIx)rpIxy(qr+p˙)Iyz(r˙pq)Izx(r2p2)Izr˙+(IxIy)pqIxy(p2q2)Iyz(q˙+rp)Izx(p˙qr))


   (回転運動の方程式)


左右対称な機体の場合の回転運動方程式

もしも機体が 左右対称形 であった場合 Ixy=Iyz=0 となる。
そのため、回転運動の方程式は
(L¯M¯N¯)=(Ixp˙+(IyIz)qrIzx(r˙+pq)Iyq˙+(IzIx)rpIzx(r2p2)Izr˙+(IxIy)pqzx(p˙qr))

この時、
 M¯ の第2項の (IzIx)rp を「ロール・ヨー・カップリング」と言い、
 N¯ の第2項の (IxIy)pq を「ロール・ピッチ・カップリング」と言う。

「ロール・ヨー・カップリング」
 ロール運動中にヨー運動が加わるとピッチングモーメントが発生する。

「ロール・ピッチ・カップリング」
 ロール運動中にピッチ運動が加わるとヨーイングモーメントが発生する


外力と(並進運動方程式の左辺)について

航空機に働く外力は (重力)と(推力)と(揚力)と(抗力)です。
(揚力)と(抗力)は、合わせて(空気力)と言うことができます。

つまり、航空機に働く外力は (重力)と(推力)と(空気力)です。

1 重力
W=(mgsinθ , mgcosθsinϕ , mgcosθcosϕ)


2 推力
  T=(TcosiT , 0 , TsiniT)

3 空気力
  (12CxρSV2 , 12CyρSV2 , 12CzρSV2)


よって、外力Fは
(FxFyFz)=(mgsinθ+TcosiT+12CxρSV2mgcosθsinϕ+12CyρSV2mgcosθcosϕTsiniT+12CzρSV2)


なので、航空機の並進運動の運動方程式
 (FxFyFz)=m(u˙+qwrvv˙+rupww˙+pvqu)は、

 (mgsinθ+TcosiT+12CxρSV2mgcosθsinϕ+12CyρSV2mgcosθcosϕTsiniT+12CzρSV2)=m(u˙+qwrvv˙+rupww˙+pvqu)


と書くことができ、これを整理すると

(u˙v˙w˙)=m(qw+rvgsinθ+TmcosiT+12mCxρSV2ru+pw+gcosθsinϕ+12mCyρSV2pv+qu+gcosθcosϕTmsiniT+12mCzρSV2)


   これも(並進運動方程式)


モーメント(回転運動方程式の左辺)について

航空機に働くモーメントは、
(空気力によるモーメント)と(エンジンジャイロモーメント)に分けられます。

1 空気力によるモーメント
  平均空力翼弦を c¯ 、翼幅を b 、空力モーメント係数を(Cl , Cm , Cn) とすると、

(空気力によるモーメント)は (12ClρSV2b , 12CmρSV2c¯ , 12CnρSV2b)


2 エンジンジャイロモーメント
  エンジンによる慣性モーメントを IR、エンジンによる回転角速度を ωRとすると、

(エンジンジャイロモーメント)は (0 , IRωRr , IRωRq)


航空機に働くモーメントは
(L¯M¯N¯)=(12ClρSV2b12CmρSV2c¯IRωRr12CnρSV2b+IRωRq)なので、

航空機の回転運動の運動方程式
(L¯M¯N¯)=(Ixp˙(IyIz)qrIxy(rpq˙)Iyz(q2r2)Izx(r˙+pq)Iyq˙(IzIx)rpIxy(qrp˙)Iyz(r˙+pq)Izx(r2p2)Izr˙(IxIy)pqIxy(p2q2)Iyz(q˙+rp)Izx(p˙qr))
は、

(12ClρSV2b12CmρSV2c¯IRωRr12CnρSV2b+IRωRq)=(Ixp˙(IyIz)qrIxy(rpq˙)Iyz(q2r2)Izx(r˙+pq)Iyq˙(IzIx)rpIxy(qrp˙)Iyz(r˙+pq)Izx(r2p2)Izr˙(IxIy)pqIxy(p2q2)Iyz(q˙+rp)Izx(p˙qr))


機体が左右対称であれば、Ixy=Iyz=0 なので、

(12ClρSV2b12CmρSV2c¯IRωRr12CnρSV2b+IRωRq)=(Ixp˙+(IyIz)qrIzx(r˙+pq)Iyq˙+(IzIx)rpIzx(r2p2)Izr˙+(IxIy)pqzx(p˙qr))


と書くことができ、これを整理すると

(Ixp˙Iyq˙Izr˙)=((IyIz)qr+Izx(r˙+pq)+12ClρSV2b(IzIx)rp+Izx(r2p2)+12CmρSV2c¯IRωRr(IxIt)pq+Izx(p˙qr)+12CnρSV2b+IRωRq)


ここで、

((IyIz)qr+Izxpq+12ClρSV2b(IzIx)rp+Izx(r2p2)+12CmρSV2c¯IRωRr(IxIt)pqIzxqr+12CnρSV2b+IRωRq)=(LMN)


とおくと、

 (Ixp˙Iyq˙Izr˙)=(L+Izxr˙MN+Izxp˙)

さらに整理すると、

 (p˙q˙r˙)=(LIx+IzxIxNIz1Izx2IxIzMIyNIz+IzxIzLIx1Izx2IxIz)
 これも(回転運動方程式)




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