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空中操作

空中操作は、航空機の運動特性を理解し、三舵の調和を身に着けるための訓練課目です。
ここでは空中操作訓練・アクロバット訓練の課目の一例を示します。

1 失速(ストール)

失速とは、翼から空気流が剥離することを言います。
失速の結果として航空機の抗力は増加し、揚力は減少します。
当然、失速状態が続くと飛行は継続できません。
墜落の危険性や、激しいきりもみになると機体の構造破壊も引き起こしかねないため、適切な回復方法を習得することをパイロットはまず学びます。


2 デパーチャーストール

デパーチャーストールは離陸時を想定した失速です。
低速かつ高出力状態にて迎え角を増大し、失速を発生させてその回復操作を訓練します。
実際に離陸直後に失速が発生するような事態に陥ると、非常に低い高度で速度も低い状態になります。
離陸直後に高度を取りたいのに、低高度で機首を下げる操作は非常に恐怖を伴い、正しく意識しなければ回復のために行う操作は感覚と異なる反操作となります。
非常に深刻な領域に陥る可能性が高いため、訓練のためではなく生き残るために、確実な回復操作を身につけなければなりません。


3 アプローチストール

アプローチストールは着陸進入のファイナルターン時を想定した失速です。
デパーチャーストールほどの高出力ではないものの、エンジン出力が残っており、また旋回中における失速状態となることから大きなバンクが入ることもあります。


4 ランディングストール

ランディングストールは接地直前を想定した失速です。
スロットルをIDLEまで引き、パワーオフの状態でフレアー操作を行います。 実際に接地直前に失速が発生するような事態に陥ると、落着や急な傾きによる深刻な構造損傷などを起こす可能性があります。


5 加速ストール

高速状態における失速です。
最大パワーで、緩徐な降下旋回を行いながらノーズを引き上げ、機体のバフェットを感じます。
失速は低速時だけでなく、高速時にも起こりうる現象であることを理解します。


6 スローフライト

速度に応じた柔軟で調和のとれた操舵を習得する課目です。
フラップを最大に展開し、直線飛行、上昇、上昇旋回、降下、降下旋回を行います。


7 シャンデル

航空機の最大性能を発揮し、180度の急上昇旋回を行い、高度・速度変化に応じた操舵を行います。
・ 水平降下姿勢からバンクをとり、斜め上方へ引き起こします。
・ 45度点で水平線をカット
・ 170度てん付近まではバンクを保持して上昇旋回を行い、
・ 180度点で水平上昇飛行となるように操舵します。


8 レイジー8

航空機の三次元の操作を通じて3舵の調和を習得する課目です。
航空機の性能によりピッチ角、バンク角などは変わってきますが、
・ 水平飛行状態から45度点に向かって上昇旋回し、
・ 90度点で最大バンクをとり水平線をカット、
・ 135度点に向かって降下旋回を行い、
・ 180度点にて翼が水平の状態で水平線をカット、
・ 135度点に上昇旋回し、
・ 90度点で反対の最大バンクをとり水平線をカット、
・ 45度点に降下旋回し、
・ 0度点で水平直線飛行へ復帰します。


9 エルロンロール

航空機の三次元の操作を通じて3舵の調和を習得する課目です。
航空機の性能によりできる機体は限られますが、
・ 若干ピッチを上げ、
・ エルロンを使い360度横転し、
・ 水平直線飛行へ復帰します。


10 ループ

これも、航空機の性能によりできる機体は限られますが、
・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを引き上げ、垂直方向に1回転します。
速度エネルギーと高度エネルギーの変換操作になるため、通常ループの軌道は綺麗な円形にはならず、卵型になります。


11 バレルロール

航空機の性能によりできる機体は限られますが、
・ 水平飛行状態から45度点で90度バンクとなるように上昇旋回し、
・ 90度点で背面姿勢をとり水平線をカット、
・ 45度点で270度バンクとなるように降下旋回を行い、
・ 0度点で水平直線飛行へ復帰します。


12 キューバンエイト

・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを引き上げます。
・ 垂直方向に315度回転したところで180度のロールを行い、-45度ダイブの降下姿勢をとります。
・ 再度、ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを引き上げます。
・ 当初の正面の-45度ダイブ姿勢となったところで、180度のロールを行い、-45度ダイブの降下姿勢をとります。
・ ノーズを引き上げ、水平直線飛行へ復帰します。


13 インメルマンターン

・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを引き上げます。
・ 垂直方向に180度回転したところで180度のロールを行い、当初の針路と180度反対方向へ水平直線飛行を行います。


14 スプリットS

・ 若干ピッチを上げ、
・ エルロンを使い180度横転し、
・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを鉛直下方へ引き上げます。
・ 垂直方向に180度回転したところで180度のロールを行い、当初の針路と180度反対方向へ水平直線飛行を行います。


15 ホリゾンタルターン

水平旋回での最短時間の180度方向転換を行う旋回です。
最大出力で最大荷重をかけて水平旋回を行います。


16 ミニマムタイムターン

最短時間の180度方向転換を行う旋回です。
・ 135度のバンクを取り、
・ ロール入力を加えないようにまっすぐエレベータを入力し、降下旋回を行います。
・ 45度旋回したところでバンクが90度になります。
・ 90度バンクを保って旋回します。
・ 180度点でロールアウトします


17 ピッチ・バック

至短時間に180度の方向転換をする旋回です。
45度バンクをとり、斜め上方にインメルマンターンを行い、180度旋回します。


18 スライスバック

こちらも至短時間に180度の方向転換をする旋回です。
135度バンクをとり、斜め下方にスプリットSを行い、180度旋回します。


19 クローバーリーフ

空中操作の総決算です。
・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを鉛直上方へ引き上げます。
・ 60度ピッチに達したら課目開始時の方向から90度点の方向へ旋転、
・ 90度点で背面姿勢をとり、水平線をカット、
・ ロール入力を加えないように翼を水平に保ってノーズを鉛直下方へ引き上げます。
・ 課目開始時の方向から-90度点の方向で、水平線通過時に開始速度となるように操作します。
・ これを残り3回繰り返すことで、クローバーの葉を描くように機動します。


20 異常姿勢からの回復

1 機首高姿勢からの回復
(1) ウイング・レベル法
   ほぽOG近くのGを保持しながらプッシュ・オーバーを行う。
(2) インバーテッド法
   最も近い水平線に向けて半横転し、機首を下げる。
2 高速降下からの回復
  パワーアイドル、翼水平、最大制限荷重内で、ライト・バフェットを保持しながら、水平線への最短方向へ機首上げを行う。



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